逍遥山(ソヨサン/587m/京畿道)

東豆川市を代表する逍遥山は、四季を問わず人気の高い山である。ソウルから地下鉄で行ける逍遥山は、休日になると多くの登山客が訪れる。特に秋には、山全体を覆い尽くす紅葉の絶景を楽しもうと多くの人波が押し寄せ、騒擾[1]なことこの上ない。それほど大人気の山である。

逍遥山駅から東へ約1㎞進むと管理事務所の前に着く。事務所周辺の街路樹はすべてカエデが植えられている。秋になれば、きらきらと鮮やかな赤い色を発する紅葉のトンネルができる。さらに10分ほど道を先に進むと一柱門(イルチュムン)が現れるが、この門には、この山の名声にふさわしく「京畿小金剛」[2]と書かれた扁額が掲げられている。

一柱門を過ぎ、俗離橋(ソンニギョ)を渡ると三叉路が現れる。右の道は寺跡(クジョルト)や公主峰(コンジュボン 526m)へと向かう道である。このコースは下山路として利用した方が良い。三叉路から左に向かい、傾斜のきつい階段を登ると、元曉滝(ウォニョポッポ)の上段部にある元曉台(ウォニョデ)が迎えてくれる。

元曉台を過ぎ、橋を渡った後、紅葉トンネルを150mほど進むと、自在庵(チャジェアム)に着く。新羅善徳女王14年(645年)に元曉が創建した寺刹である。周辺にある天然岩窟の羅漢殿(ナハンジョン)をはじめ、垂直洞窟のように深くえぐられた峡谷に流れ落ちる清涼滝(チョンニャンポッポ)の泡沫が、紅葉と相まって絶景を醸し出す。

自在庵を過ぎ、仙女湯(ソンニョタン)の前でその左側にある急傾斜の岩道を30分登ると、目がくらむように自在庵の屋根を見下ろせる下白雲台(ハベグンデ)に着く。下白雲台は、老松と相まった紅葉が見どころである。一幅の巨大な韓国画の中を歩いているような気分になる下白雲台を後にし、さらに78分登ると中白雲台(チュンベグンデ)に着く。こちらも周辺の風景に目を奪われ、しばらくは仙人にでもなったかのような気分を味わえる。

中白雲台を過ぎ、老松群落の下にある登山道を約400m登ると、抱川市新北面との境界を成す稜線三叉路に着く。三叉路から南側の尾根道を10分歩くと上白雲台(サンベグンデ)に到着、さらに約300m進むと、南東の王方山(ワンバンサン)から伸びる尾根との出合(三叉路)に着く。その出合を右(南西方向)へ進み、刃のように鋭い岩稜を20分ほど登ると、正面に山頂が見える羅漢台(ナハンデ)に着く。

羅漢台を後にし、鉄製の橋を渡った後、10分ほど登れば山頂の義湘台(ウィサンデ)となる。ここから下を見下ろす眺望は絶景である。西側には、紅葉で綺麗に彩られた公主峰が、遠くの磨叉山(マチャサン)や紺岳山(カマクサン)と共に一望できる。北側の下方には、逍遥山駅から自在庵へと深く入り込んだ紅葉の谷が、まるで赤いペンキをまき散らしたかのように見える。

下山は西稜を下り、公主峰手前の三叉路で北側の寺跡方面へ下れば良い。もしくは三叉路からさらに15分ほどの距離にある公主峰に登った後、北稜を俗離橋方面へ下山するコースもよく利用されている。

逍遥山駅を起点とし、自在庵~下白雲台~中白雲台~上白雲台~羅漢台を経由して頂上に登った後、寺跡もしくは公主峰~俗離橋~一柱門を経由して逍遥山駅に戻るコースは、距離が約9㎞、所要時間45時間。
<月刊「山」 全国名山地図帳解説より>

[1]「騒擾」(ハングル読みは「ソヨ」)を「逍遥」に掛けている。
[2]小さな金剛山という意。下の動画の0:300:42

20101022日に撮影した動画>

<登山地図>
(動画の登り=赤 下り=青
動画はここで紹介したルートの逆回り)

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