金烏山(クモサン/976.6m/慶尚北道)

金烏山は山全体に奇岩怪石や急傾斜の絶壁が多く、奥深く入るほど秘境地帯が次々と現れる。人跡まれであった1947年には、金烏山でヒョウが捕らえられたこともある。山容は大きくないが、19706月に道立公園の指定を受けた。

金烏山の旧名として伝わる名が二つあり、一つは、亀尾市仁同(インドン)側の洛東江の川岸から眺めると巨人が横たわっているように見えるところから「巨人山(コインサン)」と呼ばれ、またもう一つは、金烏山北側の善山(ソンサン)から眺めると山頂が筆先のように見えるところから「文筆峰(ムンピルボン)」と呼ばれていたと伝わっている。現在の名は、高麗時代に大覚国師[1]がこの山で修行中に黄金のカラスが飛び立つのを見てそのように呼称したとの説がある。

洛東江沿いにそびえ立つ金烏山は、古来より軍事要衝地であった。現在約2.5㎞の長さで残っている金烏山城には、高麗時代から李氏朝鮮時代末期まで軍陣と倉があった。山裾には見どころも多く、①新羅末期に道詵国師[2]が創建した海雲寺(ヘウンサ)裏の岩壁にある「道詵窟(トソングル)」、②海雲寺から5分ほど離れた大恵沢(テヘケゴッ)の「大恵滝(テヘポッポ、高さ27m)」、③周回約4㎞にわたる森林トンネル下の散策路が見どころの、商店街団地前にある「金烏貯水池(クモチョスジ)」、④高麗末期の忠臣、冶隠・吉再[3]先生の忠節と学徳を追慕する「採薇亭(チェミジョン)」などがある。休日には平均して2万人を超える観光客と登山客が訪れるほど人気のある山である。

金烏山の登山コースとしては、管理事務所を起点としケーブルカー(ロープウェイ)~海雲寺~道詵窟~大恵滝~息切れ峠(ハルタッコゲ)~山頂~薬師庵(ヤクサアム)~法城寺(ポプソンサ)を経由して管理事務所へ戻るコースが代表的である(所要時間、約4時間)。海雲寺まではロープウェイの利用が可能であり、水場は海雲寺もしくは薬師庵付近の岩清水(ソッカンス)が利用できる。金烏山ケーブルカー☎054-451-6177

漆谷方面の金烏洞天(クモドンチョン)を起点とし、城内(ソンアン)~山頂~南稜~仏岩(プチョバウイ)を経由して少林寺(ソリムサ)へと下るコースは、ひっそりとして穏やかな沢沿いを歩きながら金烏山随一の名所、城内に登ることができる。城内からの登山道は、池沼のほとりを過ぎて細い沢を渡った後、急な坂を登り切れば、テレビ中継所と無線電話基地局が建っている山頂直下の眺望岩(チョマンバウイ)へと出る。

仏岩尾根へと向かうには、フェンス沿いに南稜を進み、眺望の素晴らしい岩場と山城の区間を過ぎると、「崇烏里(スンオリ/ハングル表記숭오리2.4㎞・盗首嶺(トスリョン/ハングル表記도수령1.5㎞・金烏洞天(ハングル表記금오동천2.4㎞」と書かれた道標が現れ、ここから右の金烏洞天方向へ進む。

公共交通を利用する場合は、金烏洞天を起点として山頂へ登り、大恵滝を経由して採薇亭へと下る縦走も試す価値がある。
<月刊「山」 全国名山地図帳解説より>

[1]大覚国師(テガッククサ) 10551101年。高麗時代中期の僧侶。
[2]道詵国師(トソンククサ) 827898年。新羅時代末期の僧侶。風水説の大家。
[3]冶隠・吉再(ヤウン・キルチェ) 13531419年。冶隠は

<交通(20111111日)>
06:05 ソウル駅出発(特急セマウル号
09:29 亀尾駅到着、タクシー乗車
16:12 亀尾駅出発(特急セマウル号)
19:10 ソウル駅到着

20111111日に撮影した動画>

<登山地図>
(動画の登り=赤 下り=青

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