太白山はその規模や動植物の生態、文化財資源などの点から、道立公園の中でも最高の名山といえる(1989年5月指定。面積17.44㎢)。冬の雪景色も絶景だが、それとともに太白山が1年のうちで最も美しい姿を見せるのが、まさに6月初旬のクロフネツツジが満開となる時季である。クロフネツツジで有名な大多数の山と同様に、太白山のクロフネツツジ畑もほとんどがその木で覆い尽くされている。あちこちが薄桃色に彩られ、一抱えに余る大木の幹と四方八方に伸びた枝でグロテスクな樹木の姿と相まって、太白山のクロフネツツジは一層色艶やかである。
聖なる山として知られた、民族の霊山たる太白山は、その山頂(将軍峰(チャングンボン)の南のピーク)に「天祭壇(チョンジェダン)」がある。円形の祭壇で、緑色がかった片麻岩の自然石が積み重ねられているが、上部は丸く下部は角形となっている。これは「天は円く地は方形」という、古来より伝わる天円地方の思想を具現化したものである。
太白山は「巫俗の聖地」ともいわれる。いつ頃からか不明だが、祭壇の中央には「ハンベゴム」[1]と彫られた自然石の碑が立っている。また将軍峰にも、規模は小さいがこれと似たような祭壇が積み上げられている。この祭壇が、果たして三国遺事と三国史記に記されている、新羅において中祀を執り行った祭壇なのか、はたまた新羅の逸聖王と基臨王が祭祀を執り行った場所なのか、定かではない。しかし、東国輿地勝覧三陟都護府編 祠廟條 太白山祠欄には、この郡の人々が春と秋にここで祭祀を執り行った話が記されている。すでに2千年以上の歴史を持ち、古来より祭祀を執り行ってきた天祭壇には、常に巫堂(ムダン)やパクス(=男性ムダン)など巫俗信者が訪れ、祈りを捧げている。
明け方に太白山から眺める周囲の山々は実に美しい。特に積雪量が多いため雪景が素晴らしく、冬には全国のカメラマンが数え切れないほど押し寄せる。将軍峰の北方すぐ下にあるイチイの古木や東方の眺望が美しく、撮影スポットとして有名である。
初夏のクロフネツツジや秋の紅葉、冬の雪景など、四季折々の風景を見せてくれる太白山は、標高1,500mを超える大規模な高山帯ではあるが、登山口の標高が900m前後のため標高差700~800mほど登れば山頂に立つことができ、また柔らかな山容で傾斜も緩やかなため、初心者や家族連れの登山に適している。
早ければ5月初めにはクロフネツツジが満開となる。山頂一帯のイチイ群落と夫蘇峰(プソボン)~文殊峰(ムンスボン)間の稜線では、冬の霧氷に出会う確率が高い。人気のあるコースは、タンコル~パンジェ~望境台(マンギョンデ)~天祭壇の往復コース(所要時間、約3時間30分)と、柳一寺(ユイルサ)券売所~イチイ群落~天祭壇~望境台を経由してタンコルへと下るコース(所要時間、約3時間30分)、天祭壇から文殊峰を経由してタンコルへと下るコース(所要時間、約4時間30分)である。
新羅時代から祈祷所として有名だった山頂の天祭壇のほかにも、岩塊が積み重なった文殊峰(標高1,517m)や標高1,500mを超えたところから水が湧き出る龍井(ヨンジョン)、イチイ群落、檀君聖殿などをひとまとめにして太白山道立公園の指定を受けた。
タンコル広場のそばにある石炭博物館は、採掘から練炭製造に至るまで石炭のすべてを知ることができる施設である。☎033-550-2743。
太白山は道立公園入園料と駐車料を徴収する。管理事務所☎033-550-2741。タンコル券売所☎033-550-2745。柳一寺券売所☎033-550-2746。
<月刊「山」 全国名山地図帳解説より>
<交通(2011年5月27日)>
06:00 東ソウル総合バスターミナル出発
09:06 太白バスターミナル到着、タクシー乗車
09:28 タンコル券売所到着
14:00 ファミリー宝石サウナ前でタクシー乗車
14:10 太白バスターミナル到着
14:20 太白バスターミナル出発
17:20 東ソウル総合バスターミナル到着
<2011年5月27日に撮影した動画>
<登山地図>
(動画の登り=赤 下り=青)
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